秘密が始まっちゃいました。
驚いて彼を見つめる私を抱擁から解き放ち、荒神さんは微笑んだ。


「やっと、できた。……行ってきます」


そう言って、我が家の狭い玄関に外の光を入れた。
あっという間に閉まるドア。

私は彼の姿が消えると、ヘナヘナと玄関に座り込んだ。

今の……なに?

今のは……どういうこと?


混乱の只中で、私はたった今の感触を確かめるように自分の唇に触れた。





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