秘密が始まっちゃいました。
『日冴、好子おばちゃんから例のものがきています。
いつも断るのもなんなので、写真だけ送ります。
そのうち、電話がいくから断ってやって』


母からのメールに私はため息をついた。
さては、自分で断るのに疲れたんだな。

好子おばちゃんっていうのは、母の叔母。私の大叔母にあたる人。
いわゆる『お見合いおばちゃん』だ。

漫画で見るようなあざといお見合いをセッティングして喜んでいる困ったおばちゃん。

でも、彼女の旦那さんは超大手企業の重役を務めた人なので、紹介してくるメンズは無碍にできないハイレベルさ。
実際去年、年下の従妹が超エリートな旦那様と結婚を決めたばかり。

おばちゃん、調子にのって妙齢の私も片付けちゃおうと、ここ何ヶ月か紹介に精を出しているのだ。

お見合い……このまま男性とご縁がない日々が続くなら一度くらいは……と思っていたけれど。

今はそんな気分、消え失せたよ。
荒神さんとのキスで、わけわかんなくなった。


私は返信するのも面倒くさく、スマホを充電に繋いだ。
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