秘密が始まっちゃいました。
たっぷり時間をかけたキスが終わった。


「苦しくなかっただろ?」


荒神さんが濡れた私の唇に、人差し指を押し当て言った。

私は真っ赤な顔と荒い呼吸で彼を見つめる。瞳に非難の感情を滲ませるけれど、きっと彼は堪えていない。
それに、すっかりキスの快楽に溺れてしまった私には、非難したところで説得力はないのだ。


「し……仕事に戻ります……」


私は彼の腕から抜け出し、ドアに手をかけた。
荒神さんが背後で言う。


「土曜日な、また連絡する」


私は声を振り切るように廊下に踊りこんだ。
そして、総務部のある一階まで階段を駆け下りた。

私のバカ。はっきりしない気持ちであんなキスを受けちゃって。
ホント大バカ!!




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