秘密が始まっちゃいました。
「俺がいつから日冴のこと好きだったかわかる?」


思い切ったように荒神さんが口にした。
私は首を振った。何度もドキドキさせられたのに、好かれているなんて気付かなかった私。


「初めて見たのは転職の面接の時。俺が一方的に見かけただけだったけど。おでこ出してんのが可愛いなって思った」


「おでこ……」


そりゃ、何年も前髪はポンパドールか、アップスタイルに決めてますけど。
私は今日も出しているおでこについ触れる。


「次は入社してから。本社に会議で来たら、レポート出せって言ってきたじゃん。怒ってる顔が可愛くてさ。本社に異動になって、しょっちゅう俺を叱りに来るから、ラッキーだと思ってたよ」


「そんな……こと思ってないで、態度を改めてくださいよ……」


ストレートな言葉に胸がぎゅっと縮まる。
そんな素振り、知らない。いつだってセクハラまがいの軽口を叩くだけだったじゃない。

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