秘密が始まっちゃいました。
エピローグ



シャワーを借りて廊下に出るともう寒いくらいの夜だ。
12月のある夜。
彼の家に持ち込んだモコモコの部屋着を身に付け、素足でフローリングの床を歩く。

リビングに戻ると荒神さんはソファに座ってテレビを見ていた。
その頬を滝のように涙がつたっている。私はふーっとため息をつく。


「だから、見るのはやめたらって言ったのに」


テレビでは金曜夜の映画をやっていて、今日は名作のハリウッドリメイク。とんでもなく泣ける忠犬の映画だ。


「だって……見始めたら、止まらなくなったんだよ……」


荒神さんがむせび泣きながら答える。
私はかって知ったる冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
プルタブを開けて、荒神さんの横まで行くと革貼りのソファにどさっと座った。


「だめだ……止まらない……」


映画はすでにラストシーン。
荒神さんは画面を見ては、箱ティッシュで目や鼻をごしごし拭う。

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