秘密が始まっちゃいました。
案の定、望月は「デートなら勝手にどうぞ」的なふてくされ方を見せた後、荒神が家に泊まることを渋々了承してくれた。

疑うことを知らないお人好し。
もちろん、荒神は望月日冴のそんなところが好きだったりする。

昨日の夕方に望月のひとり暮らしのアパートに来訪。
彼女手作りの夕食を食べ、並んでDVDを見るという恋人同士のような夜を過ごした。

ここまではよかった。
計画通りというやつだ。

事件はその後。
深夜にカップルごっこと称して、少々触れ合う機会を設けたものの、望月に全力で拒否られてしまったのだ。

意気消沈。荒神は心底がっくりきてしまった。
多少はこちらに気があるかもと思っていたのに。

荒神にはある種の自信があった。
どんな女にもある程度は好いてもらえる自信だ。
こちらがちらりとでも好意を覗かせたら、大抵の女は諸手を上げて飛び込んでくる。
それなのに……。

どうしてだ、望月日冴。
おまえ、全然、俺に興味ないじゃないか。
むしろ今なんか油断の塊みたいになって、グーピー寝てるって……これはどういうことだ。
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