秘密が始まっちゃいました。
「いえいえ、完全な趣味です。本人、地元で市役所に勤めてますもん。
昔っから絵を書くのが上手くて、賞とか獲る子だったんですけど、大学もフツーに社会学部でしたよ。
最近仕事に馴れて、余暇を楽しむ余裕ができたって作りはじめて……」


私がつらつらと説明をしていた時だ。

あれ?

荒神さん?


荒神さんは真剣な顔で、動画を見ている。
食い入るように、じっと。

そして、女子がセクシーだと噂する二重の瞳が潤んだ。

あ……!

私は目を疑った。
荒神さんの瞳から大粒の涙がぼろんとこぼれ落ちたのだ。


「こ……荒神……さん……」


荒神さんの瞳からは次々に大きな雫が落ちる。パタパタと彼の手の甲や、スラックスのももに涙の雨。
高い鼻は真っ赤だし、今にもしゃくり上げそうに肩が震えている。
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