秘密が始まっちゃいました。
ふと考える。

私たちって、
周りからはどんな風に見られているんだろう?

私と荒神さんの間にはカップルのベタベタ感や、近しい距離感はない。

年はアラサーとオーバー。

夫婦とかに見えるのかな。
付き合いたてのカップルとか……いや、無理だな。見えないな。

恋の発する目映い光が私たちにはない。

私はひとり首を振る。


「どうした?望月」


「いえ、お腹減ったなぁって思っただけです」


適当なごまかしをしたら、ただの食いしん坊みたいになってしまった。

荒神さんは伊達メガネの奥の腫れぼったい瞳をすがめる。


「なんか、こういうの楽しくない?」


楽しい?
私は首を傾げる。


「学生時代、誰かの家に遊びに行ってさ。長居して、ハラ減ったからコンビニまでダラダラ歩くの。あの、暇で自由な感じ?」


「ああ、なるほど」


確かに大学時代、そんなことはたくさんあった。
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