秘密が始まっちゃいました。
私だからとか、そういうんじゃない。
以前『望月は気を使わなくていい』なんて言われたけど。
それってむしろ、女として意識されてない証拠じゃない?

……別にいいけどさぁ。


「……望月!」


「うわぁぁっ!はい!」


不意に大声で呼ばれ、私はソファの上で飛び上がった。


「そんなに驚くなよ。俺、何度も呼んだぞ」


荒神さんが空になったピザのトレーや、サラダ容器を片付けている。
私は慌てて、テーブルのゴミをビニール袋に集め出した。
テーブルに残るのはわずかなおつまみとビールのグラスばかり。


「おまえが持ってきた映画ってなんてヤツ?」


荒神さんが呼びかけてきたのは、この件らしい。
私はバッグからDVDのケースを出して、キッチンにいる荒神さんに見せる。

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