秘密が始まっちゃいました。
それはアメリカの有名な無声映画だ。喜劇王・チャールズ・チャップリンの作品。


「私の好きな映画なんですよ。落ちぶれた道化師とバレリーナの悲恋」


荒神さんは冷蔵庫から新たな缶ビールを出してくると、それをテーブルに置き、私からDVDを受け取った。
私は彼がパッケージを見る間、二人のグラスにビールを注ぎ足す。
なんだか、自然な流れ。


「意外。おまえ、若い女子だよな」


荒神さんは感心した口調で無遠慮なことを言った。
失礼な、ギリギリだけど20代じゃい!
映画は1952年の作品で、確かに若い子が好む感じじゃないかもしれないけど。


「亡くなった伯父が好きだったんです。私は伯父の影響で子どもの頃から色々見てて」


「なるほど。いや、望月が泣ける映画を持っていたということが奇跡だとは思ったんだけど、そういうことか」

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