EXCAS

白きモノ

 ――時は遡り。
 車が爆走しながら路地を駆け抜けていく。
 上手くいった、とショウは笑う。選んだ車は暗いミラーで覆われた四輪ではなくホバー式。スピードが出る機種から、リミッターを解除すればどれほどの速度が出るだろうか。頭の中にある地図と計算し、車を走らせた。
 この地区は建造物の並びが同じ。十字路や大通りから伸びる路は途切れない。それを利用したのだ。隠れていた路地から突如飛び出す車、それを冷静に分析など出来るか。
 乗っている確認のためにも追いかける。最悪でも、片方の追っ手はいなくなる。
 ここへ逃走を許し、この作戦を立案させた時点で彼らの不利は確定だ。
 事態は好転。追っ手の二体は車を追って消えていく。
 その隙をつき、別の道を使って逃げたのだ。
「ちょろいな、案外馬鹿ばかりだったようだ」
「……おにいさん、すごい」
「褒めても何も出ないぞ。出るとしたら、飴玉くらい?」
 言って、ポケットから取り出す。イチゴ味の小さい飴玉。
 いるかと聞けば頷き返す。一体、どうしてそんな物を持っていたのか。
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