EXCAS

廻せ廻せ廻せ戦場の駒

 鉄拳を振り下ろす。
 黄金の鉄槌が一つと言わず二つ三つと巻き込んで砕断に処す。
 自動で働く『古き印』が接触する攻撃以外を弾き、迫り来るそれは意識よりも速く本能でかわす。
 紙一重、一瞥で敵味方の位置をそのたびに確認してカウンターを決める。穢れ一つない白銀の肢体は、その強さの証。強き生者としての貫禄。
 だと言うのにやれやれ、とショウは溜息を吐いた。
 以前と何一つ変わらないコクピット。だがその中には、彼以外の客がいた。
 どうしているのかと、事情を知れば誰もが問い出す人物が。

「――五時の方角、上角30℃より敵影」
「了解。対応する……しかし、慣れないね」

 言われたままに反転し、その全貌を視認すると同時に拳を叩き込んだ。
 動力部を貫きさらに炸裂。
『BRIONAC』魔術師である自分の外気から魔力を拳に集中させ、爆発系のエネルギーを放出する。その威力はビーム兵器には例えられないものの、場所と状態によっては戦艦クラスの艦砲に匹敵する。
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