EXCAS
 邪魔、邪魔、邪魔、どうしてそんなに邪魔ばかりするというのか。
 亮太は何度も舌打ちして、損傷した機体という事を忘れずにしっかりとした対応をする。その腕前、もはや副座という役割を詩絵瑠は持っていなかった。
 彼の腕前は、もはやエースという名に相応しい。
 望もうが望むまいが、この戦争は彼を一人前の戦士にした。
 それでも、恐ろしいほどの数が続々と集まり始めていた。既に何機の味方が落ちたか知れない、捥がれた右の足以外にも損傷があるかもしれない。
 状況把握が追いつかず、けれどもうすぐだという意識がある。
 もうじき、ゴールは間近に迫っている。

「みんな、そろそろ動力部だ。諦めないで!」

 返事はない。疲れきっているのかと、そんな楽観的な思考が浮かんでこない事が、ひどく恨めしい。
 よせばいいのに、ゆっくりと機体を旋回させた。
 大勢の味方が付いてきているだろう、銀の回廊を。
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