EXCAS
『「ああああああああ!!」』
 断末魔と間違える雄叫び。
 血剣を振り上げ、先頭に立つガイアに向かい、
「……未熟な」
 蒼い閃光が悪魔を弾き返した。
 EXCASで捉えられなかった動きを、人間が捉えた。
 人間の動作で打倒した。単純に、その胴体を殴りつけた。
 驚愕の声が上がった。叫びに似たそれが次の言葉を発する間もなく、ガイア機から銃弾が浴びせられた。凄まじい弾幕は目暗ましか威嚇。回避も出来ず全身に浴び悲鳴を上げる。
 搭乗者は実戦を知らない素人。
 如何に機体が優れていても、操縦者の実力が伴っていなければ宝の持ち腐れだ。
 どんな動きでも所詮は人間操作。同じ人間なら、動きの先読みが出来れば回避も命中も容易い。太古の戦場に在った戦士と同じ、彼はまさしく武人。
 ギッと歯軋りの音が鳴り、倒れた体勢から跳ね上がり突進。
 剣を使わず盾で防がず、原始的な殴り合いとも違う突進。
 獣じみた猛攻は避けられる。
 掴み引き裂く爪は弾かれ、代わりに顔面へと拳が叩き込まれた。
 機械拳のダメージは大きい。引き攣った四肢を無理矢理動かし、這い蹲った蜘蛛の姿勢で睨みを聞かせる。
 気味悪いとしかガイアは感じない。
 高速で接近し、再び顔面に蹴りを叩き込む。
 まるでサッカーボール、遠いゴール目掛けて飛ばされた。途中失速し、地面にいくつも不自然な格好で叩きつけられた。
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