EXCAS
 倒れ伏し、軋む体を堪えて浅い呼吸を繰り返す。
 搭乗者は人間で、身体は機械。
 その動作は人間の物で、不自然な。
 まだ抵抗するのか。哀れみを込めた呟き。武人は剣をしまい、近代兵器を取り出す。
 息を飲んだ。それは恐怖からではなく、やってくるだろう苦痛に対して。

 ――――――。

 一瞬の空白の後、耳を劈く銃声は実体のある銃弾。
 白い身体を悉く蹂躙し、黒い刺青を満遍なく施した。

『「、っ、ぁ」』

 揃った苦痛。
 揃った喘ぎ。
 虫の息だと、誰もがそう判断できた。

 銃口は向けたまま、部隊員が取り囲むように接近し、その様子を見守る。
 異変は、その時、起きた。
 なんだ、と誰か悲鳴を上げた。
 どうした、と誰か問い出す。
 助けて、と誰か泣いた。
 轟き響く雷鳴に。
 轟き渡る命乞いに。
 勇ましく鳴る銃声に。

 黒い■は嗤っていた。
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