マー君2(原作)
早瀬美代の章
早瀬美代の章

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「でもさー咲子さんの警告って変わってない?」

美代は一樹と肩を並べて歩いていた。

学校近くで起きたマー君によるかもしれない殺人事件を調べてきて、その帰りだった。

と言っても何も収穫はなかったのだが。

「あの人は少しおかしいんだよ。まあマー君の熱狂的ファンっていうものは、あんな感じなんだろう」

「そーなのかなぁ? 優しそうな人だったけど」

「美代は外見で人を見すぎた。人は中身で見ろ。そうしないと痛い目に会うぞ」

一樹はそう言い退屈そうに空を見上げる。

もう夕暮れ時だった。

オレンジ色の日差しが、廃れた街路を寂しく照らしている。

美代は歩を緩め、そんな夕日に包まれた一樹の背中を見つめた。

一樹の言う通りなのかもしれない。

咲子さんも言っていた。

マー君は、ネットを通して人の弱い心に付け込む。

美代のような弱い心に。

それでも一樹を見ていたい。

一樹をもっと知りたい。

確かに外見しか見えていないのかもしれないけど、きっといつか一樹の中身を−−。

一樹の苦しみを理解したい。

偽りの仮面をつけている一樹を助けてあげたい。
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