マー君2(原作)
「はいはい、わかりました。一樹様にはかないませんよ。ただ−−」

美代が目つきを鋭くし、きつい口調で告げた。

「柳橋先生が怒る理由もわかるよ。一樹、学校をなめすぎだよ。いくら頭がよくたって−−」

「それはさっきの下らない数学の授業をサボったことを注意しているのか?」

「それだけじゃあないよ。本当に一樹このままじゃあヤバイし−−」

「何がヤバイ? 出席ならぎりぎり足りている」

「そういうことじゃあなくて−−一樹が後悔するじゃあないかって」

美代が泣きそうな顔で言う。

それを見た誠が二人の間に入って、話を止めた。

「まあまあ、二人とも。そう暗い顔すんなって」

「悪かったな、いつも暗くて」

「いや一樹なぁ」

一樹は俯いている美代を見下ろしたまま、考えた。

何故、この目の前にいる女を見ているとこうも苛立つのか。

そのわりに、俺はこいつが気になってしまう。

邪魔なはずなのに−−。

きっとそれは−−。

「もう、まーた美代いじめてんの一樹」

一樹達の後ろから明るい声が響く。

一樹は美代から目を離し、肩越しに声の主を見た。

案の定そいつはよく知る顔だった。
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