マー君2(原作)
「一樹いい? 私は何があってもあなたを守るわ。それが私の役目。だから、一樹は何も心配しなくていいの。私が、守るから」

「でも、それじゃ根本的な解決になっていない。あいつがここにいる限り、母さんは苦しみ続ける。だから--」

「そう、簡単にいかないものなのよ。人の繋がりってものはね」

母さんは一樹の肩から手を離し、無理に微笑んで話を変えた。

「さあ行った行った。あんまりゆっくりしてると遅刻しちゃうよ」

一樹はしぶしぶ立ち上がり、もう一度母さんを見た。彼女は腫れた顔を物とせず、満面の笑みでこっちを見ている。しかし、一樹には痛かった。

苦しかった。

母さんの笑顔が。

自分に力があれば、そう思っても結局自分は無力だ。何もできない。ただ見ているしかないのだ。

母親が苦しんでいるのに。

-守る-

母さんはそう言ったが、本当は俺が母さんを守らなければならないのに--。

一樹は母さんから視線を逸らし、背を向けゆっくりと玄関の戸を開け外に出た。

その時、後ろから母さんの小さな消え入りそうな声が聞こえてきた。

いってらっしゃい。
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