マー君2(原作)
「こういう話を知っているかい?」

ぼうとしていると、恭介が話しだした。まるで語りべのように。その話は冷たい風のように静かに耳に響き、刺激した。

「スイッチ。それは全ての始まり。例えばスイッチを入れれば電気はつく、何かが動く。それは人も同じだ。きっかけさえあれば、人もスイッチが入る。

例えその人が意識せずとも」

「なんのことだ?」

「ただの譫言だ。気にするな」

恭介は本を閉じ、また前のように背を向け屋上を出ていこうとした。そして、また前と同じように、途中で止まり話し出した。

「スイッチは入れるのは簡単だが、消すのは難しい。人が相手なら、なおさらね」

つまり人なら、例えば相手を怒らせることがスイッチを入れることで、その状態を押さえることがスイッチを消すということか。

「確かに、人なら難しいな。感情という抑え切れない物があるからな」

一樹がそう言うと、恭介は鼻で笑いその場を後にした。

恭介が屋上を出ていった後、一樹は曇り空を見上げながら考えた。

「これは偶然ではなく、俺がスイッチを入れたとい、ことか。何かのスイッチを」

その何かは、胸騒ぎのする物だった。

何か、嫌な予感がした。
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