きらいだったはずなのに!

 突如として自覚してしまったこの気持ちに少し戸惑うけれど、案外すとんと腑に落ちた。


 桐島さんのことをかっこいいなって思うのも、ちょっとときめいちゃったりするのも、意地悪なのに優しいとこも、口が悪いけど楽しく感じる会話も。


 きっとあたしが桐島さんを好きだから、なんだなあ。


 二年振りの恋に心が躍ったのに、どうやら神様はあたしのことが嫌いらしい。


「悠斗……?」


「……兄ちゃん」


 あたしの少しうしろにいた悠斗を見た桐島さんと、悠斗の声が重なった。


 ふたりのその言葉に、あたしの口からは「えっ?」なんて素っ頓狂な声が出た。


 平和に今日が終わってくれればよかったのに、そうもいかないらしい。


 ……というか、兄ちゃん、って兄弟ってこと?


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