理論と刀と恋の関係。
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「…寝て、しまったようですね」



すーすーと僕の腕の中で寝息をたてる彼女を、山南さんが微笑ましそうに見つめて言う。



「そりゃ、疲れるよなー。

初心者なのに、相手が中村くんだぜ?」



平助が頭の後ろで手を組みながら茶化すように続けた。



「ここ数日、顔色もあまり優れていなかった。

僅かな睡眠しかとっていなかったのではないか?」



一くんの発言に僕は “えっ?” と声を上げる。



「確かに、この10日間、遥花さんはほぼ毎日4時半頃にはもう起きていたけど…。

だからこそ、夜くらいはちゃんと寝かせなきゃと思って、9時頃には布団に入ってましたよ?」



そう、あの異常な就寝時間の早さは、ただ単に僕が眠かったからという理由だけじゃなかったのだ。



…まあ、僕が眠かったというのが無いとは言わないけどね。



そこに、土方さんが口を挟む。



「俺が夜11時から2時半くれぇまで仕事で起きてたとき、お前の部屋にも薄らだけど灯りが点いてたぞ?」



「はぁ!!?」



(じゃあ、彼女は僕が寝てから起きて何かやって、そこからまた寝て、4時半から朝稽古をしてたってこと?

…10日間も!?)



僕は腕の中で眠る彼女の顔を覗き込む。



でも不思議なことに、彼女の顔には隈1つない。



「総司…遥花チャンの目の下に付いてる、肌色の粉みてぇのは何だ?」



左之さんの発言にみんなが彼女の顔を覗こうとする。



(目の下の、粉…?)



彼女の目の下をそっと指でなぞると、僕の手に確かに肌色の粉が付いていた。



(…化粧か!)



ぴんときた僕は、爪を立てない様に気をつけながらも、彼女の目の下を擦った。



汗のせいもあり、粉がぽろぽろと落ちてゆく。



2、3回擦ると、彼女の目の下にはくっきりとした隈が浮かび上がった。
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