《実話》Ｌａｓｔ Ｌｏｖｅ〜命を懸けた愛〜

第一章

二人の奇跡

「こちらは、森山　弘樹さん。

そして、こちらが小西　英美さん。」

双方に手をやりながら、話すのは山下さん。

山下さんとは、英美の元職場の先輩で、弘樹の職場の上司の奥さん。

茶色をメインにこじんまりとした小さな喫茶店に、向かい合う弘樹と英美。

お互いに俯き、何も話そうとしない。

ちょうど二人の真ん中に座る山下さん。

「今日はいい天気ね。」

二人の顔を見比べながら次々に言葉を並べる。

初対面だから、弘樹も英美も緊張から顔が強ばっている。

「…そうですね…」

相槌を打つも、それが精一杯の英美。