《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
コンコン―――



「お時間です。」

式場の人が迎えにきて、英美は手を添えてもらい控え室をあとにした。

そして弘樹も式場の人に案内され控え室をあとにする。

この時、二人は初めて互いの姿を目にする。

弘樹の袴姿を見た英美。

英美の白無垢姿を見た弘樹。

一瞬、互いを確認したもののすぐに視線を逸らした。

恥ずかしさと緊張が入り交じる中、互いが無言のまま会場へと足を運ぶ。



無事に式を終え、写真撮影を行う。

今まで、どんな時も写真に写らなかった弘樹も、この時ばかりは英美の隣で小さな笑顔を見せて写真に収まった。

その写真が唯一、二人が並んで写っている一枚となる。
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