冷たい彼は旦那さま
あまりにも消えてしまいそうな弱い声に、もっと泣きそうになる。
「遥、好き。他に好きな人なんていない」
大切そうに私を抱きしめる翼さん。
「でも、帰ってきてもすぐシャワー入るし……」
「あれは、香水臭い俺が遥の隣には寝られなかったから」
……香水の匂い、気付いてたんだ。
「でもっ……でも!!」
こんなにも上手くいかないのは、翼さんのことばかり。
「シャツの口紅は多分、女装好きの同僚ので香水も、そいつの。借りをいくつか作ってたから、断れなくて」
「っ」
あまりにも切なそうな声に胸がしめつけられる。