おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「この前、誕生日だったでしょ。渡すものあるから駅まで来て。」




久しぶりにお母さんからの電話だった。





あれからもよく電話はもらってた。

あの子の話は、あの入院中の電話以来、全くしたことがない。



かけてくる電話は他愛ない話とか、お茶がいいとか健康の話とかばかり。



多分、これからも赤ちゃんのことは、私が話さなければ話題にしないんだろう。






お母さんはいつもそう。







すごい大喧嘩して、暴言はいて、そのまま寝た朝も。

気まずいなって朝ごはんの席についても、お母さんはいつもと同じ。



「ご飯にするの?パンにするの?」




って普通の顔して私に聞くんだ。






お母さんは絶対引きづらない。

聞きたいことがあっても、言いたいことがあっても。






だから安心して側にいられるんだよ。

話す勇気が出るまで待ってくれるから。









誕生日………。



今回は何をくれるんだろう。



バッグかな?財布かな?
化粧品の時もあったな。



楽しみにしながら駅まで向かった。

< 134 / 185 >

この作品をシェア

pagetop