おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
二度目の流産を越えて
忘れたかった………


逃げたかった………



何事もなかったように…




いつも通りにいつも通りの私で。









幸せが溢れ出す妊婦さんや、赤ちゃんの姿に目を覆うこともなく………


何度か私を気遣って電話してくれる親友の忙しいながらも幸せな生活に嫉妬して心を閉ざすこともなく…


赤ちゃんの泣き声に耳をふさぐこともなく。







なかったことにしたかった。





あの地獄のような夏の日は、
もともとなかったことだって…………






なかったことにしていいの?



確かに悲しい出来事もあった。
辛かった。
苦しかった…。






でもそれだけじゃないでしょ…?


忘れていいの?






心の奥にあるその声が届くのは…まだ遠い。







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