おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
3月14日。


あの子がこの世に生をうけるはずだった日。





あの子をこの世に産んであげることはできなかったけど……

逆に私が生まれ変わったみたいな気持ちになるなんて。




【そっか。その子のお導きかな。ママを助けてあげてって。】


「赤ちゃんにまで…心配かけちゃったよ…」


枯れたはずの涙の池がまた溢れだす。



【麻那が歩き出せたなら良かったって思ってるよ。】




あるきだそう…



あの子が笑って見ていられるように。



私は…おかあさんだから。






「なんか、春が来たみたい。」





花菜にお礼を言って電話をきると、窓を開けた。



清々しい春の空気を吸い込み、空を見上げる。




空は青々として、春の訪れを告げるように光輝いていた。





< 173 / 185 >

この作品をシェア

pagetop