おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
いつの間にこんな所に産婦人科できたんだろう。

その場所はかつて通っていた高校の通学路にあった。



つい2、3年前にできたばかりの新しいレディースクリニックで入り口はオシャレな門があり、ちょっとした花壇がある。


緊張した気分を花を眺めながら少し和ませ、入り口に入る。


受付には熱帯魚の水槽が置いてあり、フカフカのソファが並べられている。
日の当たる中庭が待合室から見え、まるで病院にいる気がしない。


「あの、初診なんですけど…」

「初診ですね。どうされましたか?」

「あ、妊娠したようなので…」


妊娠という言葉を使うのさえ緊張してしまう。
受付の方はキビキビとはしているが優しく問診票を渡し、書き方を説明してくれた。


周りを見回すと私より年上の女性ばかり。
場違い…じゃないかな…


端のソファーに座り問診票を書き始める。


書き終えたら尿検査と身長体重、血圧を測るらしい。
受付の方に案内してもらい、測りはじめる。



血圧を自分で測るのは初めてだったので新鮮な気分だった。



「山本麻那さん。お入りください。」



私だ!!


しばらくすると名前が呼ばれ、看護婦さんに案内されドアを開いた。


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