おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
開けた診察室にいたのはいかにも医者!というかんじの眼鏡の先生だった。

「検査薬で陽性がでたんですね。」

「はい。」

「検査薬で陽性が出ればほとんど間違いはないので妊娠しているのでしょう。
では、見てみましょう。」



あ~…やっぱり内診するよね……



ピルをもらっていた頃から苦手だった内診台に
向かう。
以前見てもらっていたのは近所の産婦人科のお爺ちゃん先生だった。
私が言うのもなんだが、エコーはあまり得意ではないのか痛いことが多く苦手になっていた。



「まだ時期も早いので見えないかもしれませんが…あ!いましたね。」



丁寧な先生のようで内診も嫌なかんじはなく、それよりも赤ちゃんの姿を見ようと身を乗り出した。


目隠しのようなカーテンを開けるとエコーの画面が出てきた。



「ここにまだ小さいけど赤ちゃんのお部屋があります。」


そう言いながら先生はいろいろとエコーを動かしたり、大きさを測ったりしている。


「へぇ~」

赤ちゃんの部屋………あの小さくて黒いのがそうなんだ…


黒く丸く見えるだけのそれに実感もわかず、ポカーンと画面を見つめる私。


「ん?ここにもあって2つ見えますね。
もしかしたら双子かもしれないですね。」


「ええ!?」


確かに黒い丸の隣にそれよりも薄く小さな黒丸が見える。


「まだ小さいので違うかもしれないですけど。来週また見てみましょう。」


「はぁ…」


一人妊娠しただけでも驚きなのに双子かもって…


混乱しながらも仕度を済ませ診察室に戻る。






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