おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
あの時の私は、小さい頃からの夢だった保育士を目指していた。
夢が叶う前に妊娠をしてしまうことはどうしても避けたかった。
彼氏だって、まだ大学生。
就職もしていない大学生と高校生の私が赤ちゃんができるということは、自分にとっても社会的にもどうなるか…
そんなことは百も承知。

生理がこない
そんな悩みは彼氏には絶対言えなかった。

今考えると愚かで恐ろしいことだけど、高校生という幼い私は
「もし、妊娠しちゃってたら中絶しなきゃ。
バイト代があるから、みんなにバレずに済むし。」
そんな軽い気持ちで初めて妊娠と向き合っていた。

中絶…
聞くだけで悲しいその言葉を平気で選択肢のひとつにしていたなんて。

虐待なんて許せない!
ニュースで聞くたび保育士を目指す私は家族に熱く語っていた。
私は命の大切さをわかっているつもりで、全く理解しきれてなかった。



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