おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「大学病院?そうなの?」



花菜の声のトーンが少し落ちる。


花菜だっていろいろあったんだろう。
思ったより驚いてはいないみたい。


病院のこと…言ってしまってからその後どう話そうかわからなくなってしまう。



「あ………うん。なんか……前に出血したって言ったでしょ。それで…」


「うん。」


「それで…まだ血が大きいらしくて…」


「うん。」



花菜はうん、うんってただ私の話を聞いてくれた。
興味本意で聞くわけでもなく、安易ななぐさめをするわけでもなく。
私が話したいだけ話せるように。




大学病院のこと、血腫のこと、自宅安静のこと…子宮のことも………


ダムが決壊するように…。
後先も考えずに話してしまった。



長い付き合いの中でもこんなに重い話をしたのははじめてだ。



「うん。麻那は頑張りすぎだから。ゆっくり休んでって赤ちゃんが教えてくれてるんだよ。」


「うん……。」


「買い物も、掃除も全~部陽くんに甘えちゃっていいんだからね。」


「…………。」



花菜は私を心配して、いろんなことを話してくれてる。
なのに私は花菜の話をまるで聞いていなかった。


聞きたくなかった。


苦しい部分を吐き出してスッキリしたら、その隙間に私のイヤな部分だけ戻ってきた…



【でも花菜は子ども産めたじゃん…】

【私の気持ちがわかるわけないじゃん…】



浮かんできた黒くて重い言葉。


そんなこと私、思ってないのに…!



生まれた妬みという黒い気持ちを振り払うように花菜に言葉の刃を向ける。



「うん。でも私、赤ちゃん信じるから!また何かあったら電話するね。」



花菜の話を遮った…
私のために話してくれた話を切るように……




イヤな女……私…



どうしてこんなことになっちゃったんだろ






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