少年陰陽師 奥州平泉奇譚
目線を移すと、お兄さんのみぞおちに八雲の右足が見事に決まっていた。



ウワっ!!!い、いきなり足蹴り!?


ったく、後先考えずに、しかも容赦がない。


僕は、できれば他人の振りをしながらと内心思いつつ、背に下げた竹刀袋に手をかけ、八雲の後ろをそーと正門内に滑り込もうとしたけれど……。


行くてを阻まれ、八雲と背中合わせになった。



「まずいよぉーっ」



僕は、小さくぼやきながら応戦の構え。


「ったく!お前といると必ず、厄介ごとに巻き込まれるぜ!!」


それは……八雲、君の台詞ではなく僕の台詞だよ。

思いつつも、見た目がひ弱な僕のせいもあるんだろうなと、僕は頼りない声でこう嘆く。


「だって……これ持ってないと憑かれたり、穢れに呑まれて動けなくなるから」


八雲は舌打ちをする。



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