少年陰陽師 奥州平泉奇譚
9》閃光
目の前に潤の顔があった。

クラス委員の有川潤は、授業で使った世界地図を資料室へ返しに行き、教室に戻る途中だったらしい。



カウンセリング室の前に倒れている僕を見付け、保健室に運んで来たのだと話した。




「なんであんな所で?」


不思議そうに潤が尋ねる。

僕は、カウンセリング室での件寂円とのやり取りを思い出し、身体の震えを懸命に抑えた。




「祐?」



「……なんでもない。貧血を起こして」



上手く誤魔化すことができない。



件寂円の正体が、「牛若丸……源義経」の転生だとか、怪異を起こしている張本人だとか……そんな話を信じてもらえる筈がない。



失笑されるだけだと思うと、話す気にはなれない。




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