レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「主人のお友達なの。あなたのファンなのですって。お相手してさしあげて」
「それは光栄だな。お名前は?」
 甘い声で問いかけられて、エリザベスの顔が真っ赤になる。

「エ……エリザベス。エリザベス・マクマリーよ」
「ではエリザベス。あちらの席にどうぞ」
「こちらは結婚前のレディです。気軽に手をとられては困ります」
 パーカーは、エリザベスの手をとろうとするダスティを妨害しに前に出た。
「邪魔しないでよ!」
「お嬢様に悪い虫がつかないよう、厳重に警戒するようレディ・メアリから言いつかっております」
 むくれたエリザベスにパーカーは諭すように言ったが、彼女の機嫌は直らない。

「……ダスティは悪い虫じゃないわ。失礼な人ね! もう、あっちに行っててちょうだい」
 エリザベスはパーカーを追い払う仕草をして、ダスティのしめすソファへと足を進めた。追い払われてもエリザベスを一人にするわけにもいかず、パーカーも慌てて後を追った。

 エリザベスは少し離れて立ったパーカーの方をちらりと見てから、顔をそむけた。
「飲む物をどうぞ。大丈夫、お酒じゃない」
 可愛らしいグラスに注がれた果汁をソーダ水で割ったものをもらって、エリザベスはダスティを見上げた。
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