レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「エリザベスはわかっているだろう。あまり心配しすぎるものではないよ。自分の姪を信用しなさい」
「叔父様、ありがとう。叔父様の信用を裏切るような真似は絶対にしないわ」
 伯爵がエリザベスの味方をしてくれるとは思わなかった。不服そうな顔をしていたレディ・メアリだったけれど、伯爵の言葉には逆らえない。
 屋敷に帰りつくまでの間、何度も同じ誓いを繰り返させられた。そうしてようやく叔母は安堵したようだった。

 屋敷に戻ると、パーカーが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「おやすみなさい、エリザベス。今日は楽しかったわ。パーカー、あなたはちょっと残ってちょうだい」
 車から下りてきたレディ・メアリはエリザベスは寝室へと追いやったが、パーカーは玄関ホールにとどめた。

 レディ・メアリがパーカーに早口で何事か語りかけている声を背中に聞きながら、エリザベスは階段を上る。寝室へ入ると、慌ててマギーが入ってきた。
「寝ててくれてよかったのに。一人で着替えくらいできるわよ」
「そういうわけにもいきませんよ、リズお嬢さん。給料分は働けって母さんに言われてしまいます」
「あなたは十分よくやってくれているわ」
 そう言うと、マギーの顔がぱっと明るくなる。彼女がよくやってくれているのは事実だったから、誉めることに何の抵抗もない。

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