レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「ダスティ・グレンの車に乗っていたのですって? 身をつつしんでもらわないと」
「……ごめんなさい。叔母さま。でも……ダスティはいい人よ。女の子にだって人気あるし。王女殿下もお好きでしょ?」
「それとこれとは別問題ですよ。違う階級の人間と深く関わらない方がいいと言っているんです」

 一応殊勝にふるまったエリザベスだったけれど、レディ・メアリは騙されたりしなかった。
 そう言う彼女の口調は強いもので、今日こそはエリザベスに言いたいことを言うのだという彼女の意志が伝わってくるようだ。
「……ただでさえ、あなたははみ出していると噂になっているのだから」
 それを言われてしまうと弱い。
 エリザベスはため息をついて、紅茶のカップに目を落とす。
 
 上品な風味のこのお茶も、マクマリー商会の扱っている商品なのだけれど——レディ・メアリはそれに気づいてさえいないだろう。
 はみ出している——そう、たしかにはみ出している。他の令嬢達と同じようにはふるまえない。商売を畳むつもりもない。
 だが、これ以上叔母に逆らうのは間違っているということもエリザベスはわかっていた。過ちを犯したのはエリザベスだ。
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