レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 爵位を持つ者は、領地からあがる収益で生計をたてるのが一般的で、商売に手を出すのは卑しいこととされている。エリザベスのように女性の身ならばなおさらだ。

 マクマリー家は領地を処分してしまっているので、叔母の世話になりたくなかったらエリザベスのような選択をするしかないわけでもあるのだけれど。

 いくら財産を持っていようと、エリザベスに近づくということはその悪い評判をも受け入れることになる。

 今まで叔母が話を持ってきた人たちも、その点については納得していたのだろうとは思うが、叔母に押し切られたという可能性も否定できない。

会ってみて、レディ・メアリに押し切られて見合いを承諾したというのでなければ――考えてもいい。どうせいつかは結婚しなければならないのだし。

 できる限り婚約期間を引き延ばし、結婚を五年後くらいにできればなおいい。その時は二十三になっているが、その時まで彼が待ってくれるだろうか。

 リチャード・アディンセルとかいう人物が、エリザベスの話を聞く耳を持っていれば、よいけれど、それは会ってみてから判断することにしよう。
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