レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「——やっぱりだめだわ。巻き込まれた人達のことを思うと……あなたを逃がしてあげたいと思ったのも、本当のことだけど。ねえ、ダスティ?」

「残念だよ、エリザベス」

 揺るぎのない銃口を向けられても、ダスティは平然としている。
ひょっとしたら、まだ、彼には何か考えがあるのかもしれなかった。

「君とは仲良くやっていけると思ったのに」

「ついでだからもう一つ教えてちょうだい。私の時計の中に聖骨が入ってるってどうやって知ったの? 私だって中に骨が入っているなんて忘れ去っていたのに」

「むやみに押し入ってたわけじゃないよ。現実的な話、我々の科学力はエルネシア王国の研究所よりはるかに先を行っている。聖骨の放つ特別な力を探知するレーダーを作るなんて簡単なことさ。それほど広範囲を調べられるわけじゃないから、情報を集める必要はあったけれど」

「それならその技術力を、有効利用すればよかったのに。その技術力、欲しがる人がきっとたくさんいるわ。それで何人が救えたのかしら」

 本当に——力の使い方を間違っている。
錬金術だなんて、あやふやなものに賭けないで、その技術力をもっと健全なことに使っていたならば、エルネシア王国は違う方向に発展することができたかもしれない。

けれど、ダスティはそうしなかった。
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