レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「そうね……でも、ダスティ・グレンの骨ならいいかも。毎日ダスティの側にいられるの。うっとりしちゃう」

 容赦なく聖骨を切り捨てたその口で、エリザベスは、今夢中になっている俳優の名前をあげる。

「ダスティ・グレンはまだ存命ですよ」

 パーカーは紅茶をカップに注ぎながら、骨を欲しがる主をやんわりと制した。

「わかっているわよ。別にいいでしょ? 殺してダスティの骨を盗もうなんて思っているわけじゃないんだから」

 骨欲しさに殺人事件を起こされても困る。この場合、どこまで本気かわからないのがエリザベスの恐ろしいところだとパーカーは認識しているのだが、それはあながち間違いでもないだろう。

 朝食のテーブルに並ぶのは、ベーコンエッグ、かりかりに焼いて蜂蜜を塗ったトースト、野菜たっぷりのサラダにボイルドしたウィンナー。オレンジジュースにミルクを添えた紅茶。

 かなりの量が並んでいるが、エリザベスはぺろりとこれを片付けてしまうのだ。
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