レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「あらやだっ、ダスティ熱愛ですって! 女優のミニー・フライ……イヤになっちゃうわねっ」

「ミニー・フライはダスティ・グレンの倍近い年齢かと思いますが」

「愛に年齢は関係ないでしょっ……ああ、でもあんなおばさんにダスティが奪われるのかと思うと腹がたつわっ」

 きーきー言いながら、エリザベスは注がれた紅茶にたっぷりとミルクと砂糖を追加した。

「他にはどのような記事が?」

 これ以上主をヒートアップさせないように、さりげなくパーカーは話題を変える。できることなら、新聞も別のものに変えて欲しいのであるが、間違いなくそれは無理だ。

「後はあまり面白くないわよ。楽園騎士団がバーで働く女性の家に石を投げつけたとか、そのくらいよ」

「楽園騎士団……最近、多いですね。熱心に信仰するのはけっこうなことだと思いますが、目にあまる行動が増えたように思われます」

 教会に属する信徒たちの中でも特に過激な一派が、楽園騎士団という団体を組織したのは一年ほど前のことだ。

 エルネシア王国が建国された頃の信仰心を取り戻せ、そうすれば死後楽園に迎えられると熱心に説いている。彼らは楽園を守護する騎士というわけだ。
< 10 / 251 >

この作品をシェア

pagetop