神様のおもちゃ箱
油断したら、涙が溢れそうだった。

潮風が目にしみる。


俺は思いだしていた。



由紀子さんと出会った日の事。

鯨の尻尾。

香水の香り。

あの日、抱きつかれた時の、細い腕。



チョコボールのエンゼルマーク。

ライオンのキスの表紙。

やたら甘い、コーヒー。

ややこしい、あのマンションのセキュリティー。



天使のようなえくぼ。

柔らかい髪。

白い肌。

あんまり長くないまつげ。



子供扱いしていつも俺の髪を撫でる癖。

ブランコでした、初めてのキス。

まっすぐに見た、瞳。





すべてが俺の毎日を輝かせてくれてたんだ。


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