神様のおもちゃ箱

十九年間生きてきた中で

一番青くさくて、ダサくて、しょうもない季節だった。


だけど、十九年間生きてきた中で一番

世界は輝いてみえたよ。



望乃と輪の横顔を覗いた。


それぞれが、それぞれの想いを見つめて、今までの自分に決別して

まっすぐ、まっすぐ、前を見て。


きっと俺たちはこうやって、大人になる。


もう、大丈夫だ。

きっと、きっと―――。



この海が、あの香水のようなコバルトブルーの海だけが、優しく見つめてくれている。


包んでくれている。

背中を押してくれているから。


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