神様のおもちゃ箱

――やっぱり、夢じゃなかった……。


“考える人”のように、眉間を押さえながら、俺は神妙なため息をついた。

頭痛が激しさを増した気がした。


とりあえず、現実を見つめる他ない。

そうだ、まずは、とりあえずだ。


「…うしっ」


俺は両手で頬をべちっと叩くと、急いで洗面所へ向かい、顔を洗って寝癖を直した。

ワックスで髪をいじり、べたつく手を洗う。


服を着替えていると、ドシンっとすごい音がした。

何事だと思い、目をやると、由紀子さんがベッドから転がり落ちていた。


まるで漫画だ。


しかしまだ寝ぼけているのか、彼女はむくっと起き上がって、またベッドによじ登り、再び眠りについた。


何だかギャグを見ているようで、俺はちょっと笑いそうになったけど、ハッと我に返って、由紀子さんを起こしに掛かった。



“誤解を招かないためにも、指一本触れない”

と決めていたが、もうこのままにしておくわけにもいかないだろう。



俺は由紀子さんの肩を掴んで揺らした。

しかし、肩をゆすっても、頬をつついても起きない。


爆睡…。




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