神様のおもちゃ箱
「ゆかりさん」

「んん?」

「……この竜田揚げ、うまいっス」

「どうもありがとう。そうやって気づかえばいいのよ、乙女心にも。あ、いらっしゃいませ~」


気づかい、ねぇ。

俺は食べながら、さっきの望乃のふくれた顔を思い出した。

隣で輪が、望乃にメールを打っている。


でも

すぐにそれらにはモヤにかかって

その後ろから、ふと郵便局に置いてきた由紀子さんが出てきた。


嬉しそうに笑ってたけど、昨日はあんなに泣いてたもんな。


ちゃんとポストにハガキを入れるくらいまでは、

一緒にいてあげたらよかったかな。


いてあげたらよかったな。

そんな事をぼんやり思った。



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