白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】


「雅風は誰も怒らなくていいほど達観しているのか、怒る理由がないほどみんなを低く見てるのか……

後者を考えるのは私みたいなひねくれ者なんだけど、そういうことをしないと思ってたの」



「……怒らないってことか?」



「怒らないとか怒れないとかは、みんな捉え方違うと思うけど。

……怒ることのない雅風があんな剣幕で怒鳴りつけるなんて、…………言いたくないけど、」
 



そこで莉音は一度口を噤(つぐ)んで目を閉じた。



言いたくないなら言わなければいいのに。



無理強いして訊いたりしないし、口にするのを厭うならば嫌なことをわざわざ言う必要もないと思う。



< 187 / 385 >

この作品をシェア

pagetop