白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「ふー、ありがと……。いい奴になったね」
また新しい雫が零れ落ちて、それが最後の涙だった。
微笑む瞳は、俺が初めて見た理波ちゃんと、変わらない気がした。
その中に、俺がいないだけで。
「うう……」
「何でお前が泣いてんだ」
「ばかやろー、この場面で泣かなかったら私じゃない」
「どんな定義だか知らんが……理波ちゃん、あの家にいるの、俺は正直辛い。
壱星がここにいていいって言ってくれたんだ。少し、甘えさせてもらおう?」