白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
滝篠教授は誤魔化すことなく淀ますことなくはっきりと応えてくれた。
こういう真っ直ぐなとこは、壱星は祖父譲りかもしれない。
「俺は、変だって思ってなかったんです」
「………」
滝篠教授の視線が、自分に向いたのがわかった。
庭を見ながら続ける。
「親に怒られて、哀しいとか、悔しいとか、淋しいとか、怖いとか。
俺のとこは前提家にいなかったし顔を合わせることもなかったので、褒められたとかは省きますが、そういう感情をもったことがありませんでした。
そういう感情があるんだってことを、俺は学校に入って、友達と接触するようになってから知りました」
「………」