白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
最後の日、俺はもう理波ちゃんが傷つけられたことでパニックだったけど、だからこそ正面切って怒鳴りつけた。
なのに、その相手を憶えていない。
あの瞬間、離人症が――俺は叫ぶ俺を、どこか遠くから、他人を見るように眺めていた感覚だった。
……陥っていたと、思う。
「どうしても、そう思えないんだ。……ごめん。どうしたって俺は、あの二人に帰ってきてほしいと、思えない……」
「そう、だよな……」
壱星の声から、覇気がなくなっていた。