白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】


「……悪いけど、俺にはあの二人を親だって思って待つとか、無理だ。


たぶん世間的には、いや、本とかドラマとか創作の世界ですら、


いくら親に捨てられたように置いて行かれた子供でも、必死に生きながら心のどこかで親を待っているとか、


年を経て探しに行くとかが道徳で、いいことで、子供のあるべき姿と描かれる、普通のことなんだと思うよ。



俺には無理。不可能。壱星には悪いけどはっきり言うよ。そんな気持ち悪いことしたくもねえ。


俺は、ちゃんと見たはずなのにあの人たちの顔を覚える気にもならなかったみたいだからな」
 



わからないんだ、二人の顔も、声も。




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