白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「滝篠くん。こっちこっち」
愛璃が立ち上がって呼ぶと、滝篠が真っ直ぐにやってきた。
「はい。本日入荷ですよ」
「ありがとう」
愛璃からシールを貼ったばかりの本を受け取る滝篠。
本日も無表情だ。
「本?」
「新しく入る中に興味あるのがあったから、雪野に先約させてもらった」
「へー。何の本?」
滝篠の持つ本を覗き込んだ。
軽く表紙をこちらに見せてから、中をめくる。
「数理心理学」